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消費税の申告等をはじめて行う方々のために、消費税の基本的なことについて改めて確認していきましょう。
このコーナーでは、税のスペシャリスト、反 真知子先生が、独立後カフェの経営をスタートさせたばかりの松井 修くんに、消費税のイロハを教えます。

[左] 反 真知子(そり まちこ)30歳
5年前に税理士資格を取得し、2年前に独立。中小企業の顧問先を多く抱え、日々忙しく走り回る。

[右] 松井 修(まつい おさむ)30歳
某メーカーで営業をしていたが、学生時代の夢をかなえるため独立。念願のカフェオーナーになる。接客は得意だが、経理は苦手。真知子とは、家が近所で昔からの知り合い。

Lesson 1. 消費税はどんな仕組み? 〜最終購入者が負担するもの!〜

「真知子先生、消費税が8%に引き上げられて、『カフェでお茶しよう』なんて考える人も減りそうで困ってます」

「オープン早々大変ね。ところで修くん。そもそも消費税って、誰がどこに納めるか知ってる?」

「買い物をした人が、国に納めるんですよね?」

「そう。国に納めるんだけど、厳密にいうと、消費税と地方消費税というのがあって、国(消費税=6.3%)と都道府県(地方消費税=1.7%)で分け合う形になっているのよ」

「へー。そうなんだ」

「それから、消費税はお客様が負担した税額を、事業者が納税するのよ。これを税の転嫁というのよ。経営者になったんだから、消費税について正確に理解してないと後々困るわよ。わかりやすい例で説明するわね」

「コーヒーカップが修くんに届くまでの間に行われた売買の際に、それぞれが消費税を受け渡したことがわかるでしょ。実質的には、最終購入者である修くんが消費税を負担したことになるのよ」

「なるほど。そういうことなんだ!」

Lesson 2. 課税事業者と免税事業者 〜キーワードは「1,000万円」!〜

「それにしても僕が消費税を納めるなんて…。開業したばかりで、常連さんも少ないのにそんな…」

「お預かりしているものなんだから当然よ!と言いたいところだけど、すべての事業者に消費税の納税義務が課されているわけではないの。以下の図で修くんはどちらなのか確認してみましょう」

消費税は基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は免税事業者となるの。この場合の基準期間は、個人事業者については前々年の売上げを見るのよ(※)」
※ 法人については前々事業年度

「それから、基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間(前年(※)の上半期6ヵ月間)における課税売上高が1,000万円を超える場合にも課税事業者となるので注意してね」
※ 法人については前事業年度

「ところで真知子先生。僕は昨年開業したばかりなので、2年前はまだサラリーマンだったんですが、そういう場合はどうなるのですか?」

「新規に開業した場合は、当然2年前の売上高はないので、原則として消費税の納税は免除されることになるわ。修くんは課税事業者選択届出書も出していないようだから、免税事業者に該当することになるわね」

「[開業3年目以降である] いいえ ⇒ [特定期間における課税売上高は1,000万円超である] いいえ⇒ [消費税課税事業者選択届出書を提出した] いいえ ⇒ だから…僕は免税事業者だ!」

「ひとつ気をつけたいのが、法人の場合、資本金が1,000万円以上だったら、新規に開業しても免税事業者にはならないの。うっかり間違えないように確認が必要ね」

Lesson 3. 消費税がかかるもの・かからないもの
〜土地の譲渡や貸付けにはかからない!〜

「そもそも消費税は、国内で事業として行う取引にかかってくるもので、資産が譲渡されたときにかかるんだけど…」

「資産の譲渡??つまり商品を販売したときってことですよね」

「簡単にいうとそうね。そのほか、『資産の貸付け』や『役務・サービスの提供』が行われたときにも課税されるのよ」

「???。単語が難しくってよくわからないんだけど…」

「貸付けっていうのは、ほら、このカフェもビルの1階を借りているわけでしょ。そういうときにも消費税はかかるのね。それから役務の提供っていうのは…このカフェのお掃除を業者さんに頼んだとするでしょ。そういうサービスにも消費税がかかってくるということよ

「そうなんだ。じゃぁ逆に消費税がかからないものっていうのもあるのかなぁ??」

「あるわよ。非課税取引っていうんだけど、『消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないもの』『社会政策的配慮から課税しないもの』が該当するのよ」

「“性格”とか“政策”とか、なんだかわかりにくいなぁ…」

「例えばね、土地や有価証券の譲渡や切手なんかは、消費という概念になじまないから消費税は課税されないこととなっているの。医療や一定の社会福祉事業、学校の授業料などは政策的な見地から課税しないこととされているのよ

「それと、輸出取引についても消費税がかからないわね」

Lesson 4. 税額の計算方法 〜払った消費税は差し引ける!〜

「いろいろ教えてもらったけど、僕は免税事業者だから、消費税は知らなくていいってことになりますよね〜〜」

「そんなことないわよ。今のうちにしっかり勉強してね。ねぇ、修くん。そもそも消費税ってどうやって納付税額を計算するんだと思う?」

「えっ?売上げに8%かければいいんじゃないんですか?」

「もう。今まで何聞いてたのよ。Lesson 1のコーヒーカップの例を思い出して。すでに自分が支払った消費税は差し引くことができたでしょ。だから単純に売上げに8%かけるだけじゃダメよ。損しちゃうわよ」

「あっ。そうか〜」

「あのー。いまさらですが、売上げって、カフェのお客さまからもらった金額ってことでいいんですよね?」

「ざっくりいうと、そういうことになるわね。厳密には、物を売った金額はもちろん、物を貸したり、サービスを提供したりする行為も指すのよ。だから、一般的に言う売上高より範囲が広く、たとえば、事業用の自動車や備品を売ったときの収入も売上げに該当することになるのよ

「実は、“売上げ”や“仕入れ”の中には消費税のかからないものがあるので注意してね。例えば、土地や商品券を売ったりしても消費税の計算では売上げから外すことになるのよ。これを“非課税取引”と呼びます」

「そうなんですね!」

「では、仕入れを見ていきましょう。修くんのお店で日々仕入れているものには何がありますか?」

「コーヒー豆やお店で出すサンドイッチのパンや具材が該当しますよね?」

「そうね。あと、今年は、机やいす、食器とかいろいろ買ったでしょ。それから、チラシも配っていたじゃない?そういうものもここでは“仕入れ”に該当することになるのよ」

「消費税が課されるか、課されないかについて、実際の運用にあたっては細かな取決めがあるものなので、『これはかかる』、『これはかからない』と一言で言い切れるものではないの。だから具体的に項目があがったら改めて聞いてね」

「はい。即ご連絡します。真知子先生、頼りにしてます!!」

「修くん。システムキッチンにこだわってたみたいだから、初期投資、結構かかったんじゃない?今年の修くんのように、仕入れにかかる消費税が多くって、売上げにかかる消費税の金額を超えてしまうような場合には、その分の消費税が還付されるの

「えっ!戻ってくることもあるんですか!すごい!」

「ただ、免税事業者であれば、そもそも消費税の申告や納税をする義務がないわけだから、当然還付も受けられないのよ。“免税”だからって喜ぶことばかりではないの。注意してね」

「では改めて、消費税の納付税額の計算を確認しましょうか。もう何年もしないうちに、2号店をだせるかもしれないし、売上げも1,000万円を超えるでしょうから、そのときを想像しながら計算してみましょう!」

「はい。お願いします!」

「では、ざっくりですが、以下の例を見てね」

「売上げの中に含まれている消費税の額は…」

「仕入れに含まれている消費税の額は…」

「ということは…、120万円から56万円を引いた64万円が納付税額になるんですね!」

「そのとおり!だんだんわかってきたわね。納付税額の計算方法は、課税期間の課税売上割合が95%未満だと、また違う計算方法になるんだけど、今の修くんには難しすぎるのでまたいつかね」

Lesson 5. 簡易課税制度 〜消費税額を簡単に計算できるスグレモノ!〜

「消費税を計算するって、たいへんなんですね。僕なんてひとりでやってるから、帳簿つけるの後回しになっちゃってるし…」

「そうよね。わかるわ。だからね。あっという間に納付税額を計算できる特例がちゃんと設定されているのよ。「簡易課税制度」っていうんだけどね

「そんな素敵な制度があるんですか!はやく教えてくださいよ」

「あわてない、あわてない!まずはこの表を見て」

「ぼくは、カフェだから飲食業に該当するので、第4種事業か」

「そうね。これは、みなし仕入率を示した表よ。業種ごとに割合が設定されているの」

「みなし仕入率は60%。つまり、課税売上にかかる消費税額のうち、60%は仕入れにかかっているとみなして差し引いていいってことだ」

「そうなの。仮に売上げにかかる消費税額が120万円だったとしたら、そのうち72万円を差し引いて、48万円を納めればいいのよ」

「これなら簡単だ。僕一人でも計算できそうだ!」

「簡易課税制度は、売上げにかかる消費税の金額だけを計算すれば、その金額を基に消費税の納付税額を計算するから簡単ね」

「ほんと、ラクチンな制度ですね!この制度があれば、Lesson 4で教えてもらった本則課税を採用する人なんていなくなっちゃうような気がするけど…」

「簡易課税制度は、一定規模以下の事業者の事務負担に配慮して設けられている制度なの。基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者にだけ、その利用が認められているのよ

「誰もが選択できるわけではないんだ」

「そうなの。それに、適用しようとする課税期間の開始の日の前日までに簡易課税制度を選択することを届け出なければならないし、届け出たら2年間は本則課税に戻ることができないから、その点も考慮して検討する必要があるわね。それから、平成27年4月からみなし仕入率の一部が改正されるので、金融業・保険業、不動産業の方々は間違えないように気をつけてもらわないと…」

Lesson 6. 価格表示 〜税抜価格は平成29年3月31日までOK!〜

「ところで、修くんのライバルでもある駅前のコーヒーショップ、行ってみたけどまあまあね。コーヒー1杯300円で提供してたわよ。メニューが税抜価格で表示されていたのだけど、あれって今だけの特別の措置って知ってた?」

「えっ、そうなんですか!」

「消費税率の引上げが短期間に2度も行われるでしょ。事業者の事務負担等に配慮して、平成29年3月31日までの間、外税表示も認められることとなったのよ

「お店によっては、消費税増税後も価格を据え置いているところもあるし、この業界も厳しいですよ」

「そうね。でも「消費税は当店が負担しています」ということをウリにして表示することは法律で禁止されているのよ。「消費税8%還元セール」なんていうのもNGね

「消費税が10%に上がることが予定されているし、気をつけてね」

「はい。またいろいろ教えてください!」

「もちろんよ!ところで、修くん。消費税の申告期限っていつまでか知ってる?」

「たしか3月末までですよね? 消費税の課税事業者になる日も近いと思うので、勉強がんばらないと!真知子先生、今日の授業料としてコーヒーご馳走しますね〜(笑)」